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カルチノイド(神経内分泌腫瘍)

どんな病気?

  • 消化管や気管など身体の色々な臓器に出来る可能性のある腫瘍で、カルチ(がん)ノイド(もどき)と言うのが語源です。
  • がんもどき、つまりがんと似て非なるものの意味ですが、これはあくまでも名前が付けられた当時の認識です。
  • 現在では、がんと同じ性質を持っていることが分かっています。
  • つまり、がん特有の性質である他の臓器への転移や、隣接する臓器への浸潤などを起こすことがあります。
  • カルチノイドは「神経内分泌腫瘍」の一種であり、実は現在の分類においてカルチノイドという病名は使われておりません。ただし一般の医療現場においてはまだまだ使用されている病名ですので、本ホームページでも使用しております。
  • 神経内分泌腫瘍全体として一年間に10万人中3~5人程度の新規患者さんが発生しています。がん罹患者数一位の大腸癌が10万人中120人であること(2018年時点)と比較すると稀な腫瘍であることが分かります。
  • カルチノイドは消化管のなかでは直腸に発生することが最も多く、胃、十二指腸と続きます。

原因は?

胃カルチノイドは萎縮性胃炎に発生しやすいことが分かっています。
萎縮性胃炎には一般的なヘリコバクター・ピロリ感染による胃炎と、自己免疫性胃炎と呼ばれる特殊な胃炎があります。
いずれにおいても胃炎によって胃酸分泌が減少しており、その反動で「ガストリン」という胃酸分泌を促進するホルモンが多く分泌されます。
胃の細胞がガストリンに過剰にさらされるとカルチノイドが発生しやすいようです。

神経内分泌腫瘍自体は、「多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)」、von Hippel -Lindau病(VHL)と言った稀な遺伝性疾患に合併しやすいことも知られています。
その他にも原因不明の症例は多数存在しています。

症状は?

  • ホルモン作用による症状
  • がんと同様の症状

神経内分泌腫瘍はその名の通り、内分泌ホルモンを放出することがあります。
過剰に分泌されたホルモンは実に多岐にわたる症状を引き起こします。
例えばカルチノイドであれば「セロトニン」を放出し皮膚の紅潮、下痢や動悸、喘息などを起こします。
他の神経内分泌腫瘍で多いのが「インスリン」、「ガストリン」、「グルカゴン」などのホルモンを放出する場合です。
インスリンは血糖値を下げる役割のホルモンです。これが過剰に分泌されると低血糖症状を起こします。つまり発汗、震え、意識障害などです。
ガストリンは胃酸分泌を促進する役割のホルモンです。
過剰に分泌されれば難治性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍を発症します。
グルカゴンは血糖値を上げる役割のホルモンです。
過剰に分泌されることで糖尿病などの症状を起こします。

以上はホルモン作用による症状であり、腫瘍が小さくても出てくる可能性があります。
一方で、腫瘍が大きくなると一般的ながんと同じような症状が出現します。
胃カルチノイドであれば、がんのように出血したり、食欲低下、胃痛などを起こすことがあります。
直腸カルチノイドであれば血便がでることもあります。
がんのように肺や肝臓などと言った他の臓器に転移することもあります。

どんな検査があるの?

カルチノイドを含む神経内分泌腫瘍を疑うきっかけとして一番多いのが胃カメラ、大腸カメラなどの内視鏡です。
たいていは定期検査などの際に偶然発見されます。
特徴的な形をしており、専門医であればその形を観察するだけでほぼ診断可能ですが、確定診断のためには生検(腫瘍を一部だけ摘まみ取り顕微鏡検査すること)を行います。

神経内分泌腫瘍は膵臓(すいぞう)にも発生することがあります。
膵臓は通常の内視鏡検査では観察することが出来ません。
腹部超音波検査やCT、MRI検査が有用です。
これらの検査で疑われた場合、超音波内視鏡検査で針生検(胃壁などを介して針を刺し膵臓組織を一部採取し、顕微鏡検査すること)を行います。

以上のような流れで神経内分泌腫瘍と診断されたら、血液検査で上に挙げたようなホルモン値などを測定するなどしてより詳細な診断に結び付けます。

治療は?

  • 内視鏡治療
  • 外科手術
  • 抗腫瘍薬

胃や大腸などの消化管に発生した10mm程度までの腫瘍であれば多くの場合、内視鏡で切除することが可能です。
それ以上のサイズになるとがんのように転移することもあり一般的に外科手術が必要とされています。
一方で、膵臓に発生した神経内分泌腫瘍は原則的に全例外科手術(膵切除)が推奨されています。
ただし最近では無症状で偶然発見されることも増えております。
膵切除は消化管の手術よりもリスクが高いことも多いことから、個々の患者さんの手術リスクや腫瘍の状況を踏まえた上で慎重に経過観察する選択肢もありとする報告もあります。

肝臓など他の臓器に複数転移していた場合。
がんでは一般的に手術は行われませんが、神経内分泌腫瘍では手術できる部分は切除、取り切れない腫瘍に対しては抗がん剤などの抗腫瘍薬で治療する方法をとることが推奨されています。

参考:膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN)診療ガイドライン 2019年第2版

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