メニュー

脂質異常症(高脂血症)

どんな病気?

  • そもそも「脂質」とは何を指すのでしょうか。主な脂質には悪玉コレステロールとして有名な「LDLコレステロール(LDL-C)」,善玉コレステロールの「HDLコレステロール(HDL-C)」、そして「中性脂肪」があります。
  • 以前は高脂血症と呼ばれていました。善玉コレステロール「HDL-C」が低いことにも病的な意味があることがわかっていましたが、これも合わせて高脂血症と呼ばれていたためネーミングに違和感があったのです。そこで近年ではすべて合わせて脂質異常症、と表現しています。
  • 脂質異常症が起こると心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの重篤な動脈硬化性疾患を引き起こすため、その治療は極めて重要です。
  • 動脈硬化性疾患は日本人の死亡原因の24%もの割合を占めています。

原因は?

  • 食習慣
  • 運動不足
  • 肥満
  • 遺伝的要因
  • 他の病気による影響

よくある原因は何と言っても欧米化した食習慣、運動不足や肥満です。これらの要素は同時に抱えている方が大半です。
家族性高コレステロール血症などの遺伝性疾患が原因のこともあります。これは200~500人に1人程度と比較的多くの方に見られます。LDLコレステロールが180㎎/dL以上、近いご家族にこの病気の方がいる、皮ふに原因不明の黄色い結節がある、などが当てはまる方は要注意です。
遺伝性の脂質異常症は家族性高コレステロール血症だけではなく、他にも沢山の種類が知られていますがここでは説明しきれませんので詳細は割愛します。
その他の原因として多いのが甲状腺機能低下症、糖尿病原発性胆汁性胆管炎、薬剤(利尿剤、ステロイド、経口避妊薬,etc.)などの影響です。
こういった病気・薬剤でも脂質異常が起きやすいことが分かっています。

症状(合併症)は?

基本的には脂質異常症だけでは無症状です。怖いのは脂質異常症におって引き起こされる動脈硬化です。
慢性的に脂質異常を抱えていると次第に動脈が硬く、狭くなり血流も悪くなります。動脈硬化によって高血圧が起こることは良く知られていますが、ここから心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症などの重篤な病気に発展していくのです。
これらは全て症状が出た時には既に動脈硬化がかなり進行していることが多く、後戻りも出来ませんので本当に気を付けておく必要があります。
また中性脂肪が高いと急性膵炎(すいえん)を起こすこともあります。これも場合によっては死に至る恐ろしい病気ですので要注意です。

どんな検査があるの?

まず採血で脂質異常がないか調べます。脂質異常がある場合には、そその本質とも言える「動脈硬化」を評価する必要があります。
簡便なところだと血圧測定です。ただ測定するだけではなく、足の血圧も測定します。腕と足の血圧比(ABIと呼びます)から足の「閉塞性動脈硬化症」を拾い上げることが出来るのです。
頚動脈エコーも簡便に行うことができ、有用な検査です。頚動脈の壁の厚さやプラーク、動脈の狭さなどを測ることで脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを間接的に想定することが出来ます。つまり頚動脈を調べることで全身の動脈硬化の程度を知ることが出来る、言わば全身の「血管の窓」になると言っても良いかも知れません。
またCTにおいては、動脈硬化が進んだ方だとそこら中の血管が白く映るため視覚的に、誰にでも非常に分かりやすい検査です。
MRIは磁気のみを利用しているためCTのような被ばくがない、つまりお身体へのダメージがないことが大きな特徴です。脳血管、頚動脈、大動脈、腎動脈、下肢動脈などを映し出し、血管が狭い部分や閉塞している部分を調べることが出来るため非常に有用です。

治療は?

  • 食事療法
  • 運動療法
  • 禁煙
  • 血圧管理
  • 薬物療法

脂質異常症管理には具体的な数値目標が定められています。
まず個々の患者さんの性別、年齢、喫煙有無など複数の項目をスコア化し動脈硬化性疾患発症リスクを①低リスク②中リスク③高リスクに分類します。さらに④心筋梗塞・狭心症(まとめて冠動脈疾患と呼びます)の既往がある方は別分類になります。LDL-Cの数値で言うと

  1. 160㎎/dL未満(低リスク)
  2. 140㎎/dL未満(中リスク)
  3. 120㎎/dL未満(高リスク)
  4. 100㎎/dL未満(冠動脈疾患既往)

といった形で目標値が決まっているのです。放置すると数%〜数十%の確率で10年以内に冠動脈疾患を発症するとされています。
ガイドラインに基づきリスク分類別の数値目標、冠動脈疾患リスクを表示してくれるアプリがありますのでご興味のある方はダウンロードしてご自身のデータを入力してみてください。1分も掛からずに結果が出ます。

冠動脈疾患発症予測ツール これりすくん
AppStoregoogleplay

 

次から具体的な治療法に移ります。
第一には食事療法、あるいは運動習慣といった生活習慣の改善、肥満なら減量を行います。

食事

  • 穀物では白米よりも麦飯、玄米、雑穀米。白パンよりも全粒穀パン
  • のほうが食物繊維が豊富なのでお勧め。
  • 肉の脂身、動物脂(牛脂、ラード、バター)、乳製品の摂取を抑え、魚、大豆の摂取を増やす。
  • 野菜、海藻、きのこの摂取を増やす。
  • 果物を適度に摂取する。
  • 塩分控えめ。
  • アルコールの過剰摂取を避ける。

運動

  • 有酸素運動を中心に実施する。(ウォーキング、水泳、ジョギング(歩くような速さで)、サイクリング、ベンチステップ運動(20cmくらいの高さの台での昇降運動)など)
  • 合計30分以上、少なくとも週3回以上(できれば毎日)。一日の中で10分×3回のように短く分けても良し。
  • 運動以外の時間もこまめに歩くなどして、出来るだけ座ったままの生活は避ける。
  • 厚生労働省が生活習慣病対策として「健康づくりのための身体活動基準および指針(アクティブガイド)」を公表しています。参考にしてみてください。

減量

  • 無理なくまずは3%の減量を目指す。70kgの方なら約2㎏です。
  • 過度な食事制限による低栄養には注意しましょう。

禁煙や血圧管理も非常に重要なポイントになります。
禁煙は直接的な脂質異常症治療ではありませんが、動脈硬化性疾患によって死亡するリスクを低下させることができ、しかもその効果は禁煙開始後から速やかに現れ、禁煙期間が長くなるほど有効です。血圧管理も直接的な脂質異常症治療ではありませんが禁煙と同じように動脈硬化性疾患に密接に関連しています。高血圧症のページで解説していますのでそちらもご覧ください。

最後に薬物療法です。生活習慣の改善で効果不十分の時にはリスクに応じてお薬での治療を検討します。もっとも重要なのは悪玉コレステロールであるLDL-Cを低下させることです。
これにはスタチン系薬剤を使用します(〇〇スタチンといった名前の薬剤です。アトルバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチンなど)。これだけで十分な管理が出来ない場合には他の作用機序を持った薬剤を併用します。中性脂肪も同時に高い場合やHDL-Cが低い場合など、状況に応じてお薬の種類も使い分けます。

いずれにしましてもLDL-C(悪玉コレステロール)の低下は心臓や血管の病気や死亡率、脳梗塞の予防効果が期待できます。周りに心筋梗塞や脳梗塞でお亡くなりになった方、後遺症で苦しんでいる方はいないでしょうか?そういった方たちはご本人のみならず、ご家族も大変な思いを抱えているはずです。まずは生活習慣の改善、それでもダメなら内服治療。これを徹底することで長く健康でいられる体をご自身で掴み取りましょう。

参考:脂質異常症診療ガイド 2018年版

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME