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高血圧症

どんな病気?

  • 高血圧症は脳心血管病(脳卒中と心臓病)の原因となるため適切な治療が必要です。脳心血管病の原因のうち約50%もの割合を高血圧症が占めており、最大の原因となっています。
  • 高血圧が原因で発症した脳心血管病での死亡者数は年間約10万人と推計され、非常に多くの方が亡くなっています。
  • 現在の日本には高血圧症の方は4300万人いると推測されています。そのうち適切にコントロールされているのはわずか1200万人です。自分が高血圧であることを知らない方は1400万人、知っていながらも治療を受けていない方が450万人、治療していても目標に達していない方が1250万人とされています。
  • 2016年の調査では40~74歳で男性の実に60%(女性は41%)、75歳以上ではなんと男性74%、女性77%が高血圧症でした。

原因は?

  1. 食塩の摂りすぎ
  2. 肥満
  3. 運動不足
  4. 飲酒習慣
  5. 喫煙
  6. 寒冷
  7. ストレス
  8. 睡眠障害
  9. 二次性高血圧

①食塩の摂りすぎ

食塩摂取が多くなると血圧が上昇することが多くの研究で証明されてきました。昔から日本人の食塩摂取量の多さは問題視されており1950年代の調査では1日25gと、現代では考えらないほどの量であったことが推定されています。1990年代に行われた調査では平均で男性12.3g、女性10.9gと減少してきました。2016年の調査では男性10.8g、女性9.2gまでさらに減少しましたが未だに高い数値であることには変わりありません。

②肥満

平成29年の調査によると20歳以上の男性では全ての年齢層において肥満者(BMI 25以上)が25%を超えていました。一方、女性では若い方に痩せが多く、加齢とともに肥満が増え50歳以降では20%が肥満となっています。
BMI 20未満と比較して25.0~29.9では高血圧発症リスクが1.5~2.5倍と推定されています。
*BMI:body mass index〔体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〕

③運動不足

運動不足が直接血圧と上げるというよりは、適切な運動には降圧効果があることが分かっています。

④飲酒習慣

飲酒習慣も血圧上昇の原因となります。大量の飲酒は高血圧に加えて脳卒中やアルコール性心筋症、心房細動、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすのみならず、がんの原因にもなります。

⑤喫煙

煙草をたった1本吸うだけで、15分間にもわたって血圧が上昇することが報告されています。慢性的な作用としては動脈硬化を引き起こすことも分かってきました。動脈硬化は高血圧と密接に関係しています。

⑥寒冷

寒さで血圧が上がり、冬季には血圧が高くなります。脳心血管病による冬季の死亡率は暖房が不十分な場合ほど高くなります。

⑦ストレス

心理的・社会的なストレスによって高血圧発症が2倍以上高まることが報告されています。

⑧睡眠障害

睡眠時無呼吸症候群、短い睡眠時間や交代勤務、休日の少なさなどが高血圧発症に関与すると言われています。

⑨二次性高血圧

他の病気が原因で起こる高血圧のことを指します。高血圧症全体の10%程度を占めると言われています。詳細は割愛しますが原発性アルドステロン症が一番多く、ほかには睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症なども原因となります。

症状は?

  • 脳卒中
  • 心筋梗塞、狭心症
  • 心不全、心肥大
  • 慢性腎臓病
  • 高血圧緊急症

基本的には無症状であり、何かの機会に血圧を測定して初めて発覚します。無症状であることが逆に怖い所であり、慢性的に高血圧が持続すると上に挙げたような脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などのリスクが上昇します。
一方で「高血圧緊急症」と呼ばれ、急な症状を伴う場合もあります。これは単に血圧が高いだけではなく脳、心臓、腎臓、大動脈など特定の臓器に「進行性」の「急激な障害」を引き起こすものです。迅速に診断し、直ちに降圧治療をしなければ命に関わります。具体的には高血圧性脳症、急性大動脈解離を合併した高血圧、肺水腫を伴う急性心不全、高度の高血圧を伴う急性心筋梗塞などがあります。

どんな検査があるの?

血圧には3つの測定方法があります。実は高血圧の定義は各測定方法で異なります。以下に定義を記載します。

診察室血圧 140/90mmHg以上
家庭血圧 135/85mmHg以上
自由行動下血圧 130/80mmHg以上

それでは各測定方法について簡単に解説します。

診察室血圧測定

病院やクリニックなどの診察室で計測する最も一般的な測定法です。 一方でこの数値だけを信じると、いわゆる白衣高血圧(診察室では高血圧ですが家庭では正常)、仮面高血圧(白衣高血圧の逆で、診察室では正常ですが家庭では高血圧)などの問題点もあります。

家庭血圧測定

自宅で測る血圧です。頻回に測定できる、白衣高血圧や仮面高血圧を診断する助けになる、などの利点があります。

自由行動下血圧測定(当院での取り扱いはございません)

医療機関から貸し出した器具(腕に巻くカフとデータ記録装置のセット)を着けて、15~30分ごとの血圧を一日分記録する方法です。通常の血圧測定では知ることのできない、環境や時間帯での血圧変化を知ることが出来ます。これも白衣高血圧や仮面高血圧の診断に有用です。

治療は?

  1. 減塩
  2. 適正体重の維持
  3. 有酸素運動
  4. アルコール摂取制限
  5. 禁煙
  6. 内服治療

①減塩

食塩摂取量は1日6g未満が目標値です。これによって血圧が下がることが分かっており、さらに脳心血管病の発症や死亡リスクが減少することが期待できます。

②適正体重の維持

減量の降圧効果は体重1kgにつき1.1mmHgと推定されています。また体重の3%以上の減量で降圧ができるとの報告もあります。

③有酸素運動

運動療法は2~5mmHgの降圧効果があると期待されます。
65歳以上では毎日40分以上、18~64歳では毎日60分以上の運動が推奨されています。ただし診察室血圧180/110mmHg(家庭血圧160/100mmHg)以上もある方はいきなり運動をすると危険な場合があります。一般的な運動療法の対象はそれ以下の血圧で、かつ脳心血管病のない方たちです(対象とならない方はまずは薬剤などで血圧を下げてから医師の指示に従って運動を行います)。

④アルコール摂取制限

1日に摂取するアルコール換算で男性20~30ml以下(日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当)、女性はその約半分の10~20ml以下に制限することが推奨されています。

⑤禁煙

原因のところで述べたように喫煙が高血圧を引き起こすことが分かっています。禁煙することでそれを予防することが出来ます。

⑥降圧治療

主要な降圧薬として「Ca拮抗薬」「ARB」「ACE阻害薬」「サイアザイド系利尿剤」「β遮断薬」があります。それぞれに適した病態、逆に禁忌となる病態があります。例えばよく処方されるCa拮抗薬は狭心症も合併している患者さんに適していますが、徐脈の患者さんには禁忌(使用禁止)とされています。こういったことも考量しつつ適切な薬剤を選択します。
具体的な手法としては、まず単剤で少量から開始しますがこれだけで降圧目標を達成できる方はわずか4割程度と言われています。そこで効果が弱ければ他の種類の薬剤を併用したり量を増やしたりします。
一方、急激に血圧が下がると危険です。降圧目標は数か月かけてゆっくりと行う方が副作用も少なく、特にご高齢の方は急激な降圧は避けるべきです。

参考:高血圧治療ガイドライン2019

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