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便潜血陽性 を放置したらなぜいけないの?

[2026.05.27]

「便潜血陽性」を指摘されたものの、体調に変化がないために「まぁ、大丈夫だろう」と放置してしまう方は少なくありません。しかし、医療の現場から強くお伝えしたいのは、「便潜血の放置は絶対にNG」ということです。

この記事では、便潜血陽性を放置してはいけない本当の理由と、その後に受けるべき検査について、分かりやすく解説します。

そもそも「便潜血陽性」とはどういう状態?

便潜血検査は、大腸がんのスクリーニング(ふるいわけ)を目的として健康診断などで広く行われている検査です。便の表面をこすり取り、「目に見えないごくわずかな血液」が混じっていないかを調べます。

ここで重要なのは、便潜血陽性は「すでに大腸がんである」という意味ではないということです。

便潜血陽性が意味すること 「口から肛門までの消化管(特に大腸)のどかで、現在進行形で、または一時的に出血が起きている(起きた)」というサインです。

健康な状態であれば、便に血が混じることはありません。陽性という結果は、大腸からの「体の中で何かが起きているよ」というSOSなのです。

なぜ放置してしまう人が多いのか?

便潜血陽性を放置してしまう理由の多くは、以下の3つに集約されます。

  1. 「痔のせい」だと思い込んでいる 「普段から切れ痔があるから、どうせその血だろう」と自己判断してしまうパターンです。確かに痔は出血の原因として非常に多いですが、「痔があること」と「大腸に病気がないこと」は全く別問題です。

  2. 体に痛みがなく、元気だから お腹が痛い、便秘がひどい、急激に痩せたなどの「自覚症状」がないため、検査結果を軽視してしまいがちです。

  3. 「2回のうち1回しか陽性にならなかった」から 多くの健診では2日分の便を調べます(2日法)。「1日目は陽性だったけど、2日目は陰性だったからセーフ」と考えてしまう方がいますが、これは大きな誤解です。

便潜血陽性を放置してはいけない「3つの決定的な理由」

では、なぜ放置がそれほど危険なのでしょうか。その理由は、大腸という臓器の性質と、そこに隠れる病気の進行スピードにあります。

理由1:大腸がんは「初期には絶対に症状が出ない」から

「症状がないから大丈夫」が通用しないのが大腸がんです。 大腸の粘膜にがんが発生しても、初期の段階では痛みも違和感も全くありません。がんが少し大きくなり、便が擦れることで「目に見えない微量の出血」が起こり、それが便潜血検査で引っかかります。

ひどい腹痛、便が細くなる、貧血、体重減少などの自覚症状が出たときには、すでにがんがかなり進行している(ステージ3〜4)ケースが非常に多いのです。私自身、そういった患者さんを多く見てきました。

理由2:1回だけの陽性でも、がんやポリープの確率は十分に高いから

「2回のうち1回だけ陽性」だった場合でも、精密検査を行うと以下のような病気が見つかることが統計的に分かっています。

  • 大腸がん:約3〜5%

  • 大腸ポリープ(がんの芽):約30〜40%

「1回しか陽性にならなかった」のは、がんやポリープが常に大量出血しているわけではなく、「たまたま便が擦れたタイミングだけ血が出た」に過ぎないからです。1回でも陽性が出た時点で、精密検査の対象となります。

理由3:「大腸ポリープ」の段階で見つければ、がんを予防できるから

大腸がんの多くは、最初からがんとして発生するのではなく、良性の「大腸ポリープ(腺腫)」が数年かけて大きく育ち、がん化することで発生します。

便潜血陽性をきっかけにカメラを行い、ポリープの段階で切除してしまえば、将来大腸がんになるルートを完全に断つ(予防する)ことができるのです。米国で行われた研究でも劇的に大腸がんが減ることが明らかになっています。放置することは、この最大の予防チャンスを自らドブに捨てることになってしまいます。

便潜血陽性と言われたら、次に何をすべき?

「便潜血陽性」の結果を受け取ったら、やるべきことはただ一つです。 速やかに消化器内科を受診し、「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」を受けてください。

時折、「もう一度、便潜血検査をやり直したい」と希望される患者様がいらっしゃいますが、それは意味がありません。前述の通り、がんであっても毎回出血するわけではないため、たまたま次回陰性に出たとしても、病気が消えたことにはならないからです。

大腸カメラをおすすめする理由

大腸カメラは、内視鏡を肛門から挿入し、大腸の粘膜を直接目で見て確認する検査です。

  • 正確性が極めて高い(小さなポリープも見逃さない)

  • 検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除(日帰りポリープ切除術)が可能。当院でも毎月多数の日帰りポリープ切除を行っています。

  • 出血の原因が痔なのか、大腸の病気なのかをはっきりと診断できる

「痛そう」「辛そう」というイメージがあるかもしれませんが、当院では、適切な鎮静剤(眠り薬)を使用することで、ほとんど眠っているような状態で楽に検査を受けることが可能です。

まとめ:あなたの行動が、将来の健康を左右します

日本において、大腸がんは罹患者数(かかる人の数)が非常に多く、死亡原因としても常に上位にあるがんです。しかしその一方で、「早期に発見できれば、ほぼ100%治せるがん」でもあります。

便潜血陽性という結果は、神様がくれた「大腸がんを未然に防ぐ、あるいは超早期に見つけるためのチャンス」です。

「あのとき検査を受けておけばよかった」と後悔しないために。 自覚症状が何一つなくても、検査結果を真摯に受け止め、どうぞ一歩を踏み出して大腸カメラの予約をお取りください。

当院では、患者さんがリラックスして受けられる苦痛の少ない内視鏡検査を行っています。「初めてで不安」「痔があるから不安」という方も、まずは一度お気軽にご相談ください。

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この記事を執筆した人
金沢憲由

日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本内科学会 総合内科専門医
難病指定医
秋田大学出身
月間400件以上の内視鏡検査を行なう。 丁寧でわかりやすい医療の提供を志す。 人間ドックによる予防医療にも注力している。

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