C型肝炎
どんな病気?
- C型肝炎ウイルスに感染することによって引き起こされる肝炎。
- 肝炎とは、その言葉通り肝臓に炎症が起き肝細胞が破壊される病気。
- ウイルス感染後に急性肝炎を起こしたのちに、半数以上で持続的な炎症(慢性肝炎)へと発展します。
症状は?
- 現在では感染対策により、急性肝炎を起こす新規感染者はほとんど見られません。
- 急性肝炎を起こした場合は他の肝炎同様に発熱や倦怠感、食欲不振、黄だんが主な症状です。下に述べるような検査によって他の肝炎と区別します。
- 一方で、医療者の間でC型肝炎と言えば通常はC型慢性肝炎を指します。
- 急性感染後に10年程度の期間をかけてC型慢性肝炎に進展します。ここまではほぼ無症状。
- さらに時間をかけて肝硬変にまで発展してしまうと黄だん、腹水、全身の浮腫、食道・胃静脈瘤などの症状が出現し、日常生活が著しく制限されることになります。
どんな検査があるの?
- 一般的な肝機能検査に加えて、抗体検査を行います。
- 抗体とは体に侵入してきた異物を排除するために体内で作られるタンパク質です。
- C型肝炎ウイルスに対する抗体は一度できると消えません。ですから、抗体値が高くても今もウイルスが体内にいるのか、消えた後なのか分かりません。
- そこで(コロナウイルスで有名になった)PCR検査を行います。これによってC型肝炎ウイルスが今もいるのか分かります。
- 肝炎では腹部エコー、CT、MRIなども良く行われます。
治療は?
C型急性肝炎について
- 急性肝炎の場合は自然治癒を目指します。
- 自然治癒しない場合にはインターフェロン治療が効果的という報告もあります。(保険適応外ですので当院では行えません)
C型慢性肝炎について
- 原則的に全てのC型慢性肝炎患者さんが治療対象。
- 治療の目的は「発がん率の低下」、「肝硬変への進展予防」。
- 内服薬での治療で、95%以上の方がウイルスの排除に成功します。
- この治療は非常に有用ですが、実は数百万円の医療費が掛かる超高額な治療になります。
通常はこのような高額な費用は支払えませんので行政の方で医療費の補助(肝炎治療医療費助成制度)があります。
医療機関から発行された診断書があれば、治療前に役所に申請することで助成を受けることが可能です。
具体的には所得に応じて月額自己負担限度額が1~2万円となります。
治療期間は8~12週間です。概算ですが、例えば所得の多い方でも8週間治療で2万円×2か月=4万円の自己負担額で治療を受けることが可能です。 - なお、C型肝炎ウイルスに対するワクチンは未だ開発されておりません。
参考文献
C型肝炎治療ガイドライン 第7版