E型肝炎
どんな病気?
- E型肝炎ウイルスに感染することによって引き起こされる肝炎。
- 肝炎とは、その言葉通り肝臓に炎症が起き肝細胞が破壊される病気。
- 急性肝炎で終わる場合と、少数ですが持続的な炎症(慢性肝炎)が残ってしまう場合があります。
原因は?
- ブタや野生のイノシシ・シカなどがE型肝炎ウイルスに感染していることがあります。
- これらの感染した動物に接触したり、肉や内臓を生、あるいは加熱不十分な状態で口にすることによる感染(経口感染)が原因のほとんどと言われています。(加熱不十分なジビエ料理など)
- 輸血による感染報告もありますが、2020年8月以降は全ての献血でE型肝炎検査が義務付けられており、輸血感染の可能性が限りなく低くなっております。
症状は?
- E型肝炎ウイルスに感染してもほとんどが「不顕性感染」といって、感染したにも関わらず症状が出ません。
- ある報告によると、感染した人の約8%が肝炎を発症すると言われています(つまり残り92%は不顕性感染、無症状です)。
- 肝炎症状は他の急性肝炎と同様で、発熱や倦怠感、食欲不振、吐き気、軽い腹痛などであり、これだけでは胃腸炎など他の病気と区別が付きません。
- 皮膚や白目が黄色くなる(黄だん)と肝炎を疑うきっかけになります。
- E型肝炎は他のウイルス性肝炎よりも重症肝炎や劇症肝炎へ発展する確率が高いことが知られています。
- 特に妊婦さんでは要注意です。
どんな検査があるの?
血液検査
- E型肝炎を疑った場合は一般的な肝機能検査に加えて、抗体検査を行います。
- 他にはコロナウイルスで有名になったPCR検査で直接ウイルスを検出する方法もあります。
画像検査
- 腹部エコー検査(最も簡便で有用性も高い検査です。当院でも行っております。)
- CT
- MRI
治療は?
- 特効薬はありません。
- 基本的には時間とともに自然治癒します。
- 経過が思わしくない場合では「インターフェロン(注射)」や「リバビリン(内服薬)」などが有効と言われています。(ただし、これらのお薬は保険適応外であり当院では扱っておりません。)
- 劇症肝炎に至った場合では全身の集中治療を行い、時には肝移植が必要になります。
参考文献
臨床とウイルス Vol. 48 No. 2 2020.7 E型肝炎 疫学、病態、治療