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大腸憩室(けいしつ)症

どんな病気?

  • 大腸の壁が外側に向かって、数ミリくらいの小さな袋のように飛び出した状態を言います。内視鏡で見るとくぼみのようになっています。
  • 数個~数十個、100個を超えることもあります。
  • 近年は大腸憩室の保有者は増えており、最新の統計(平均52歳)では保有率は23.9%にものぼります。

原因は?

  • 食物繊維の摂取不足
  • 腸管内圧の上昇
  • 加齢

食物繊維の摂取不足は便量の減少を招きます。すると腸の動きが活発化するなどし、腸管内圧が上昇します。そこに加齢に伴う腸管壁のぜい弱化が加わるなどして、押し出されるような形で憩室が出来上がります。

症状は?

  • 腹痛
  • 発熱
  • 血便

憩室を保有しているだけでは基本的には無症状ですが「憩室出血」や「憩室炎」を起こすことがあります。
ちなみに大腸憩室保有者の憩室出血率は1年間に0.2%、5年間で2%、10年間で10%と言われています。(つまり1000人いたら1年のうちにその0.2%、つまり2人が出血し、10年だと10%、つまり100人が出血するということです。)
「憩室炎」はその3倍程度多いとされています。以下のそれぞれの症状について詳しく解説します。

大腸憩室出血

憩室出血は痛みを伴いません。血便だけが唯一の症状です(もちろん出血量が多ければ貧血は起こします)。

憩室出血の大きな特徴の一つとして自然止血率の高さが挙げられます。特に何も処置をしなくとも70~90%の患者さんは自然に血が止まります。一方で非常に困ったことに再出血率の高さも大きな特徴です。憩室出血を起こした方は1年以内に30%前後の確率で再出血し、2年以内ではこれが40%前後にものぼります。中には出血が止まらずに命を落とす方もいます。死亡率は高齢男性で高くなりますが全体では約1%程度です。

ちなみに憩室出血は高齢者、アスピリンや鎮痛剤を普段から服用している方、肥満の方、性別では男性に多いとされています。

大腸憩室炎

憩室炎の症状は腹痛と発熱です。一度良くなっても1年以内に8%の方が、10年以内には22%の方が再発すると言われます。

まれに穿孔(せんこう。腸に穴が空くこと)を起こしたり膿瘍(のうよう。膿のこと)を合併することがあります。

また憩室炎でも命を落とすことがあります。

膿瘍等の合併症を起こすのが全体の16%で、その場合の死亡率が2.8%とされています。合併症がない場合の死亡率は0.2%と報告されています。

どんな検査があるの?

  • 血液検査
  • 造影CT
  • 腹部超音波(エコー)検査
  • 大腸カメラ
  • (注腸X線検査)
  • (胃カメラ)

大腸憩室症自体は無症状であり、たいていは偶然発見されますが、その主なきっかけは大腸カメラやCT検査です。

中には胃がん検診で飲んだバリウムが大腸の憩室に入り込んで見つかる方もいます。最近は大腸がんの手術前検査でしか行われていませんが注腸X線検査(肛門からバリウムを注入する検査)では憩室にしっかりとバリウムが入りますのでよく分かります。

ただし憩室症は多くの方が気づかずに持っている極々ありふれた病気であり、分かったからと言って特別な検査、治療は必要ありません。

問題は憩室出血や憩室炎を発症した場合です。

まずは憩室出血について。もちろん貧血等を調べるために血液検査はしますが、他にも「造影CT」を行う場合があります。これはCTで白く映る特殊な造影剤を血管に注入してから撮影するCT検査のことです。出血している場合は血管から漏れ出た造影剤が白く映るため出血源が分かります。憩室は多発することが多いため、その中から本当の原因を探し出すのに造影CT検査が威力を発揮するのです。その後は病院にもよりますが止血をするために大腸カメラを行う場合があります。自然に止血されることも多い病気ですので出血しているからと言って必ず行うわけではありません。また胃や十二指腸からの出血でも、大量である場合には真っ赤な血便として出てくることがあるため胃カメラが必要と判断されることもあります。

一方の憩室炎について。症状が「腹痛」「発熱」であり、これだけでは他の病気と区別が付きません。血液検査はもちろんのこと、腹部超音波(エコー)やCT検査で急性胆のう炎や急性虫垂炎(いわゆる盲腸)が隠れていないか調べます。憩室炎がある場合には大腸から豆のように外側に出っ張った憩室の周りに炎症が起きていることが確認できます。同時に穿孔(せんこう)や膿瘍(のうよう)が合併していないか調べることが出来ます。

憩室出血と異なり緊急で大腸カメラを行うことは殆どありません。

治療は?

大腸憩室出血

  • 大腸カメラ
  • カテーテル治療(動脈塞栓術)
  • 手術

憩室出血のほとんどは自然に血が止まります。ですから入院(状況次第で自宅でも構いません)をして腸の安静を保つだけでも十分な治療にはなります。一方で1年以内に30%前後の確率で再出血するという厄介な性質があります。さらに言うと、自然止血後1週間以内に再出血する患者さんも多くおります。

現時点ではまだ研究が十分に進んでおらず、効果のほどは定まっていませんが24時間以内に大腸カメラを行うことが学会からは提案されています。大腸カメラで出血の場所を確認できた場合(実は確認できる確率は多く見積もっても5割前後)、①クリップ法②結紮(けっさつ)法などで止血します。

①内視鏡治療用のクリップで憩室ごと、もしくは露出した血管を挟み込んで止血します。結紮法より簡便に行えますが再出血しやすい可能性があります。

②憩室を直径数ミリの小さなゴムリング内に引き込んで、憩室ごと縛り上げて止血します。上手くゴムリングが掛かれば再出血率は低い可能性があります。(*正確な治療効果は研究段階です。)

内視鏡治療が上手くいかず、かつ自然止血されない場合、カテーテル治療や外科手術が必要になります。まずはカテーテル治療が行われることが多くなります。
カテーテル治療はもちろんお腹は切りません。脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、大腸憩室の出血している場所まで上手に誘導して、動脈内に直接止血物質を置くことで止血します。再出血することもありますが成功率は70~100%ほどと良好な治療成績が報告されています。

手術では出血している憩室を含めた大腸切除を行います。当然、憩室出血の止血効果においては確実ですが、合併症として縫合不全、出血、感染、腸閉塞、肺塞栓、肺炎などが起こり得ます。合併症まで考えると手術はやはり最終手段と考えた方が良さそうです。

大腸憩室炎

  • 抗菌薬
  • 手術

膿瘍(のうよう)や穿孔(せんこう)を合併していない憩室炎は必ずしも入院は必要ではなく、抗菌薬を処方し外来治療を行うことも多くなります。その際、出来れば腸に負担の少ない食事内容にして頂きます。

一方で、膿瘍や穿孔を合併した場合には手術(大腸切除)が必要になることが多くなります。特に穿孔した憩室から便が漏れている場合には手術しても死亡率35%と、数字からも非常に重篤であることが分かります。

それから原因が大腸のどの位置であれ、手術では人工肛門が必要になることが多いようです。

参考:大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン

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