日帰り大腸ポリープ切除
大腸ポリープとは
大腸ポリープには大きく分けて2種類あります。将来がんになる可能性のあるポリープと、可能性のないもしくは非常に低いポリープです。
- がんになる可能性のあるポリープの代表が「腺腫(せんしゅ)」です。腺腫は将来数%の確率でがんになることが分かっています。治療が必要です。もちろんたくさん腺腫があれば、そのどれか一つが将来がんになる可能性はそれ相応に上がります。
- がんにならないポリープの代表が「過形成性ポリープ」です。原則的に治療は不要です。
- 当院で行う大腸カメラでは最大約100倍まで簡単に拡大観察する事が出来ます。これによりポリープの種類を素早く判断し腺腫かそれ以外か(治療すべきポリープか、そうではないか)を見分けることを可能としています。
- 一方で拡大観察しても過形成性ポリープと見分けが付きにくい「SSL(sessile serrated lesion,エスエスエル)」と呼ばれるポリープも存在することが比較的最近の研究で分かってきました。一部のSSLはがん化するため、治療が必要です。当院では拡大観察などを駆使して両者を区別し、適切に治療することに力を入れています。
- 当院では年々更新されていく医学的知見に基づいた最新情報を常に取り入れ、可能な限り過不足のない大腸ポリープ治療を行うことをお約束します。
こんな方は要注意
大腸がんのリスクファクター(危険因子)には以下のような要因があります。
- 50歳以上
- 大腸がんに罹ったご家族がいる方
- 高カロリー食
- 肥満
- 大量飲酒
- 胆のう摘出した方
- 喫煙
- 脂肪や肉類の摂取
一方で大腸がんに罹りにくくする要因もあります。
- 適度な運動
- 食物繊維の摂取
- アスピリン内服している方
ポリープは小さいうちに根絶やしに!
そもそも大腸がんはどうやってできて、大きくなっていくのでしょうか。
多くの大腸がんは始めは小さな腺腫でした。小さな腺腫が大きくなって、その内のいくつかは運悪くがんに変わってしまうのです。
大腸ポリープのサイズが5mm以下だと0.2%、6〜10mmだと5%、11〜15mmで37%、16〜20mmで44%、21mm以上で68%
この数字はなんでしょう??
がんになっている確率です(がん研有明病院HPより引用)。
例えば6〜10mmの比較的小さなポリープを切除した場合でも、その5%が「がん」だったと言うことです。
これが小さなうちに大腸ポリープ切除をお勧めする理由です。
他にもあります。
アメリカで行われた有力な研究によりますと、発見された腺腫を全て切除した場合には将来大腸がんにかかる率が76?90%も下がり、さらに大腸がんで亡くなる方が53%も減りました。絶大な効果だと思いませんか?
また10mm以上にまで大きくなったポリープはそれだけ治療の難易度も上がります。それに伴い出血や穿孔(せんこう。穴が空く)リスクも上がり、20mmを超えてくるとESDと呼ばれる、さらにもう一段階難易度の高い内視鏡治療も必要になってきます。
当院の役割の一つとして、地域の消化器がん死亡率を下げることを掲げております。上に述べた様な観点から私たちは大腸ポリープを「小さなうちに」「根絶やしに」することを目指しております。
日帰り大腸ポリープ切除の流れ
①検査前日
- 朝食、昼食、夕食は検査食のみお召し上がりください。水分は飲んでも構いません。
- 夕食後(21時頃)に小さな下剤(ピコスルファートナトリウム内用液)をコップ1杯の水に溶かしてお飲みください。
- 21時以降もお食事は出来ませんが、水、お茶は飲んでいただくことが出来ます。
②検査当日
- 朝食は取らないでください。
- 指示された朝の内服薬は朝7時までにお飲みください。
- 色のついてない飲み物は検査1時間前まで飲んで構いません。
- ご自宅で朝から1~2Lの腸管洗浄剤を飲みます。
*ご自宅からの移動が不安な方、下剤から一貫して院内で過ごしたい方、PC等での作業をしながら安心した環境で下剤を飲みたい方などのために、院内で飲用するための完全個室もご用意しております。ご希望の方は大腸カメラ前診察の際にお申し出ください。 - 個人差がありますが5~10回ほど排便があり徐々にただの黄色い水のようになっていきます。これで自宅での準備は完了です。
③来院後
- 受付します。
- 個室にご案内します。個室で専用の紙パンツに履き替え、処置室に移動します。
- 腕に点滴を取ります。
- 検査台に左を下にして横になります。
- 点滴ルートから腸の動きを抑える注射薬、鎮静剤を投与します。
- お尻からカメラを入れて、大腸全体を観察します。ポリープが発見したらその場で切除します。検査時間は15分程度です。
- 鎮静剤の中和剤を点滴ルートから投与して目を覚ましやすくします。
- 検査台(ストレッチャー)ごとリカバリー室(完全個室)に移動して30分程度お休みいただきます。
- 目が覚めましたらお会計して終了です。クロンスマートパスにてオンライン会計登録をしている方は会計を待たずに帰宅可能です。
大腸ポリープの切除方法
EMR(イーエムアール、endoscopic mucosal resection)
①ポリープの下に生理食塩水を2ccほど注入します。
②スネアと呼ばれる金属製の輪を内視鏡から出し、ポリープの根元を締めます。
③高周波電流を使用して切除します。
④切除したポリープは液体と一緒に内視鏡を通して吸い込み、回収します。
EMRは昔から用いられてきた最もオーソドックスな大腸ポリープ切除方法です。おおよそ20mmまでのポリープが対象で、良性(腺腫やSSLなど)でもがんでも切除出来ることが特徴です。
コールドスネアポリペクトミー(cold snare polypectomy, CSP)
コールドスネアポリペクトミーは主に10mm以下の比較的小さな良性ポリープ(腺腫やSSLなど)が対象になります。EMRよりも後に行われるようになった方法です。EMRのように生理食塩水を粘膜下に注入する行程がないので速やかに処置を完了できます。
特に強調しておきたい特徴は、EMRと比較して術後の出血が少ない点です。(正確に言いますと自宅で様子見可能な、にじむような出血はEMRより多いのですが、医療機関に再度受診したり入院まで必要になるような大量出血が少なくなります。)
当院では10mm以下の良性ポリープについては積極的にコールドスネアポリペクトミーを行っております。
ポリープ切除後の注意点
まれに出血することがあるので治療後1週間(血液サラサラの薬を飲んでいる方は2週間)は以下の点に気を付けます。
- 飲酒しない。
- カフェイン飲料、香辛料を大量に摂取しない。
- 長時間の入浴は避ける。
- 激しい運動や腹圧のかかるような重労働は避ける。
万が一出血してしまった場合にはまず当院へご連絡ください。当院への受診、もしくは適切な医療機関への紹介をご案内します。
TEL:050-3641-0085
費用について
内容 |
1割負担 |
3割負担 |
---|---|---|
大腸カメラのみ |
2500円前後 |
7500円前後 |
大腸カメラ+組織検査 |
4000円前後 |
12000円前後 |
大腸カメラ+ポリープ切除※1 |
7000~10000円前後 |
2~30000円前後 |
※1 切除する個数、部位などによって費用が変動します。また大腸ポリープ切除は公的医療保険(健康保険)の対象であることはもちろんのこと、民間の医療保険の対象にもなるのが一般的です。