大腸カメラの翌日はしんどいですか? 大腸内視鏡検査後の体調について徹底解説
大腸カメラ検査は、大腸がんの早期発見に非常に有効な検査です。しかし、「検査自体は大変そうだけど、翌日はどうなの?」と質問される方も多くいらっしゃいます。。結論から言うと、大腸カメラの翌日は、多くの場合、普段通りの生活に戻れますが、体調には個人差があります。 この記事では、大腸カメラ検査の翌日に感じる可能性のある症状や、その対処法、そして検査を快適に乗り切るためのヒントについて詳しく解説します。
そもそも大腸カメラ検査とは?
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、肛門からスコープを挿入し、直腸から盲腸まで大腸全体の粘膜を直接観察する検査です。ポリープや病変が見つかった場合は、その場で組織の一部を採取したり(生検)、10mm以下のポリープであれば切除することも可能です。
この検査を成功させるためには、大腸の中を完全にきれいにすることが不可欠です。そのため、検査前日からは食事制限があり、検査当日の朝には腸管洗浄剤を飲んで腸の中を空っぽにする必要があります。これが、検査自体と同じくらい、あるいはそれ以上に「大変だ」と感じる方が多い部分です。
大腸カメラ翌日の一般的な体調
多くのクリニックや病院では、大腸カメラ検査の翌日は特別な制限なく普段通りの生活に戻れると説明されます。しかし、実際には以下のような症状を経験する方もいらっしゃいます。
1. 倦怠感や疲労感
検査当日は、下剤による頻繁な排便や、検査そのものによる精神的な緊張、そして麻酔(鎮静剤)を使用した場合はその影響で、身体は想像以上に疲れています。そのため、翌日に軽い倦怠感や疲労感を感じることがあります。これは、風邪をひいた後のような、身体がだるい感覚に近いかもしれません。
特に、普段から体力に自信がない方や、睡眠不足が続いている方は、より強く感じる可能性があります。無理せず、ゆったりと過ごす時間を作ることを心がけましょう。
2. お腹の張りや残便感
検査中に大腸の中をよく観察するために、空気を注入してお腹を膨らませます。この空気が検査後も腸内に残り、お腹の張りやゴロゴロとした不快感を引き起こすことがあります。時間の経過とともに自然に排出されますが、翌日まで残ることもあります。ただし当院では吸収性の良い炭酸ガスを使用しておりますのでガスは残りにくいはずです。
また、徹底的に腸を洗浄したため、便意があってもなかなか排便がない、あるいは少量しか出ないといった残便感を訴える方もいます。これは腸の動きが一時的に鈍っているためで、数日かけて徐々に元の排便リズムに戻っていくことがほとんどです。
3. 軽い腹痛
お腹の張りからくる軽い痛みや、まれに検査中に腸壁が刺激されたことによる鈍い腹痛を感じる方もいます。ほとんどの場合、心配のない程度の痛みですが、強い痛みや持続する痛みがある場合は、速やかに医療機関に連絡しましょう。
4. 軽い吐き気や頭痛
麻酔(鎮静剤)を使用した場合は、その影響が翌日まで残って軽い吐き気や頭痛を感じることがあります。これは麻酔が完全に体から抜けるまでの影響で、時間の経過とともに改善されます。水分をしっかり摂り、安静に過ごすことが大切です。
5. 便通の変化
検査前に大量の下剤を服用するため、検査後は一時的に便の回数が減ったり、便の性状が変わったりすることがあります。下痢が続くこともあれば、逆に便秘になることもあります。これは腸内環境が一時的に変化したためで、通常は数日から1週間程度で元の状態に戻ります。
こんな症状が出たら要注意! すぐに医療機関を受診すべきサイン
ほとんどの場合、大腸カメラ翌日の不調は一時的なもので心配ありません。しかし、まれに重篤な合併症の兆候である可能性もあります。以下の症状が見られた場合は、すぐに検査を受けた医療機関に連絡するか、救急外来を受診してください。
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激しい腹痛や持続する腹痛
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血便(特に鮮血や多量の血便)
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高熱(38度以上)
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吐き気や嘔吐が止まらない
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冷や汗、意識の混濁、顔面蒼白など、全身状態の悪化
これらは、腸穿孔(腸に穴が開くこと)や、ポリープ切除後の出血などの合併症の可能性があります。極々まれなことではありますが、念のため症状を把握しておくことが重要です。
翌日を快適に過ごすための対策
大腸カメラ検査の翌日を少しでも快適に過ごすために、検査前からできること、そして翌日に意識したいことがあります。
検査前〜当日
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十分な睡眠をとる: 検査当日は早起きして下剤を飲むため、前日はしっかりと睡眠をとりましょう。
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水分補給を怠らない: 下剤服用中は脱水になりやすいため、指示された水分以外にも、適宜水分を補給しましょう。
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無理のないスケジュールを組む: 検査当日はもちろん、翌日もできれば無理な予定を入れないようにしましょう。仕事を休む、半休を取るなど、身体を休める時間を確保することもご検討ください。
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鎮静剤を使用する: 当院では検査中の苦痛を和らげるために、鎮静剤(麻酔)を使用しております。不安が強い場合は医師に相談してみましょう。
検査翌日
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無理せず安静にする: 疲労感がある場合は、無理に活動せず、自宅でゆっくりと過ごしましょう。読書や映画鑑賞など、リラックスできることをして過ごすのがおすすめです。
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消化の良い食事を摂る: 検査後は、消化器に負担をかけないよう、お粥、うどん、煮込み料理など、消化の良いものを中心に摂りましょう。刺激物や脂っこいものは避け、少しずつ通常の食事に戻していくのが良いでしょう。
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温かい飲み物を摂る: 身体を温めることで、腸の動きが活発になり、お腹の張りが楽になることがあります。白湯や温かいお茶などをゆっくりと飲みましょう。
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軽い運動をしてみる: お腹の張りが気になる場合、軽いウォーキングやストレッチなど、身体を軽く動かすことで腸のガスが排出されやすくなることがあります。ただし、無理は禁物です。
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入浴でリラックス: シャワーだけでなく、湯船に浸かって身体を温めることで、リラックス効果と血行促進効果が期待できます。ただし、ポリープを切除した場合は、医師から入浴の許可が出るまでシャワーのみにしましょう。
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便通の変化に一喜一憂しない: 検査後の便通は一時的に乱れることがあります。焦らず、自然な排便を待ちましょう。
まとめ:大腸カメラの翌日は「しんどくない」とは言い切れないが、工夫で乗り切れる
大腸カメラ検査の翌日は、多くの方が軽度の倦怠感やお腹の不調を感じる可能性があります。 「しんどいですか?」と聞かれれば、全くしんどくないと断言できる人は少ないかもしれません。しかし、それはあくまで一時的なものであり、適切な対処をすることで快適に過ごすことができます。
最も重要なのは、自身の体調に耳を傾け、無理をしないことです。 検査前後の過ごし方を工夫し、万が一いつもと違う症状が出た場合は、迷わず医療機関に相談しましょう。
大腸カメラ検査は、早期発見・早期治療のために非常に大切な検査です。少しの準備と心構えで、翌日の不調を最小限に抑え、安心して検査を受けることができます。これを読んで、少しでも不安が解消され、検査に前向きに取り組めることを願っています。