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急性胆管炎(たんかんえん)

どんな病気?

  • 肝臓で生成された胆汁(たんじゅう)は胆管を通って十二指腸に流れます。
  • 急性胆管炎は①胆管が閉塞し②細菌が繁殖することで発症します。
  • 死亡率は約3〜10%とされ、致死率の高い疾患です。それでも下がった方です。1980年以前では死亡率50%以上にも上っていましたと報告されています。

原因は?

  • 総胆管結石
  • 悪性腫瘍(がん)
  • ステント閉塞

一番多い原因は総胆管結石(胆石)です。日本と台湾で行われた共同研究では原因の約60%が胆石でした。胆石自体の原因は胆石症のページにて解説しております。
胆管がん膵がんなどの悪性腫瘍による胆管閉塞はその次に多く、10〜30%程度と報告されています(上記の研究では約15%でした)。 共同研究では3番目の原因はステント閉塞でした(11%)。ステントとは狭くなった胆管に留置して胆汁の流れを確保するための器具で、細いパイプ形状をしたプラスチックステント、金属製で網目の筒構造をした金属ステントがあります。金属製ステントの方が太く、閉塞しにくいのですが多くは数か月で閉塞してしまいます。

症状は?

  • 発熱
  • 腹痛
  • 黄だん
  • 血圧低下
  • 意識障害
  • 多臓器不全

発熱、腹痛、黄だん(皮膚や白目が黄色くなる)が典型的な症状です。大抵の場合では発熱は38℃以上の高熱となります。重篤になると血圧が低下し、意識状態も悪くなります。ここまで悪化しても適切な処置がなされなければ、多臓器不全に陥り命を落とす可能性も高くなります。

これほど急性胆管炎が重症化しやすいのには理由があります。胆管はもともと5mm程度の太さしかない細い臓器であり、閉塞が生じた際に内圧が容易に上昇しやすいという解剖学的特性があるのです。すると繁殖した細菌や毒素が血管に逆流しやすく、全身にバラまかれ悪循環となります。

どんな検査があるの?

血液検査

急性胆管炎では必ずと言って良いほど「白血球」や「CRP」などの炎症マーカー、「AST」「ALT」「ALP」「γ-GTP」などの肝胆道系酵素、黄だんの数値「ビリルビン」などが上昇します。

腹部超音波検査(エコー)

エコー検査は最も簡便で、放射線検査のようにお身体への影響を心配する必要もなく、外来でサッと行うことのできる非常に有用な検査です。
閉塞して拡張した胆管(総胆管や肝内胆管)であったり、閉塞の原因となっている総胆管結石、腫瘍の有無などを確認することが出来ます。
一方で弱点は、高度の肥満患者さんや腸のガスが多い方、食後などでは超音波ビームが届きにくく内臓を描出しにくくなる点です。

CT検査

エコー検査よりも、より分かりやすい(診断に適した)画像として拡張した胆管、胆石やがんなど閉塞の原因、さらには肝臓や膵臓(すいぞう)など胆道以外の腹部臓器を同時に調べることが可能です。情報量が多く非常に有用な検査ですので、急性胆管炎が疑われた場合は必ずと言っていいほど撮影されます。
急性胆のう炎を併発することも多く、CT画像から胆のうに対しても緊急処置が必要か判断することもしばしば経験します。
CTの弱点はどうしても一定量の放射線被ばくがあること、エコーよりも胆石を映し出す能力が低い事などが挙げられます。

MRI検査

MRIの優れている点は胆道だけ切り取って立体的に映し出すことが出来る事です。CTですと上で述べたように周囲臓器も同時に確認しやすいという特徴がありますが、MRIではあえて肝内胆管〜総胆管、その脇道に繋がっている胆のうのみを映し出すことで胆道全体の姿を確認し状態を確認し易くしています。特に胆石以外が閉塞の原因となっている場合に、他の検査が苦手とするところでMRIの真髄が発揮されます。
胆石はほとんどの場合、胆管の一番下流に詰まりますので閉塞部位を確定しやすいのですが、例えば胆管がんだと肝内胆管であったり胆管が枝分かれしている部分であったりが閉塞することがあります。これは腹部エコーやCTでははっきりと映し出すことが出来ないことも多く、閉塞位置と範囲を客観的な画像として正確に描出出来るのがMRIであり、これは治療方針にも大きく関わってくるのです。
胆石を映し出す能力も高く、特に総胆管結石はエコーでもCTでも診断できない事が多い中で、MRIでは得意とする所です。磁気のみを利用するため被ばくがないことも利点です。
欠点は狭い空間に30分ほど横になりその間じっとしている必要があることから、閉所恐怖症の方や認知症などの方は難しい点です。

超音波内視鏡検査

腹部エコー検査の弱点である肥満やガスの多い状況を克服したのが超音波内視鏡検査です。胃や十二指腸から直接胆道を観察することが可能であるため脂肪やガスの影響を取り除くことができます。特に腹部エコーやMRIでも分からないような柔らかく石になる前のような泥状のカスが総胆管に隠れているような場面で威力を発揮します。
口から挿入する内視鏡(通常の胃カメラよりも太い)ですので検査の負担が比較的大きいことが難点です。

治療は?

  • 抗菌薬
  • 内視鏡的胆管ドレナージ(排液)

初期治療として抗菌薬(抗生物質)の投与は必須となります。
その上で、最も重要なことは胆管の中にたまった膿を逃すことです。内視鏡を用いて、膿を逃すためのチューブを胆管に留置します。これを「内視鏡的胆管ドレナージ」と呼びます。ドレナージとは排液することです。
膿がキレイになり炎症が落ち着いた段階で原因となっている総胆管結石を除去したり、がんの精密検査を行います。
胆石を除去する際には胆管の出口(十二指腸乳頭)を専用ナイフで切開したり、バルーン(特殊な頑丈な風船)で拡げるなどします。

参考:急性胆管炎・急性胆嚢炎診療ガイドライン2018(第3版)

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