吐き気・嘔吐
吐き気・嘔吐について
吐き気は、嘔吐しそうな不快感です。
めまいやお腹の不快感、食欲不振を感じることもあります。
嘔吐とは、食道を逆流して吐物が口から出ることです。
必ずしも吐き気を伴うわけではありません。
血を吐いた場合(吐血)、通常は吐物が赤色ですが、血液が胃酸にある程度さらされると(鉄成分が酸化して)コーヒーかすのような濃い茶色~真っ黒に変化します。
胆汁が混じっている嘔吐物は黄緑色をしています。
吐き気・嘔吐の主な原因
吐き気・嘔吐の原因は多岐にわたります。
胃腸を始めとした消化器疾患が原因となることが多々ありますが、脳の病気やめまいなど他の臓器の異常が原因の場合もあります。
ここでは主に消化器疾患を中心に取り上げてみました。
詳しくは各疾患の解説ページも用意しておりますので上記リンクをご参照ください。
以下は簡単な解説です。
急性腸炎
言わずと知れた吐き気の代表格です。
罹患した経験のある方も多いのではないでしょうか。
主にウイルス感染が原因となり発症します。
食道アカラシア
食道の通りが悪くなる病気です。
吐き気がなくとも、胃に流れずに食道に貯留した食物を嘔吐することがあります。
胃・十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
胃腸の炎症で動きが悪くなると消化に時間がかかり長い時間にわたって、食物が胃腸に溜まったままになり、吐き気を催すことがあります。
また出血した場合にはムカムカが強くなり吐血することがあります。
腸閉塞
腸閉塞は必ずと言ってよいほどお腹の張りと同時に吐き気、嘔吐を伴います。
小腸が閉塞することが多く、流れを失った食物が溜まり胃腸がパンパンに膨れるのが原因です。
がん
一番重大、かつ怖いのはがんの存在です。
特に日本人が罹るがんの多くは「消化器がん」です。
消化器がんには食道がん、胃がん、大腸がん、膵(すい)がん、肝臓がん、胆管がんなどがあります。
食道がん、胃がん、大腸がんは食物の通り道に発生する腫瘍ですので大きくなると直接的に通りが悪くなり吐き気、嘔吐を引き起こします。
他のがんも含め、腫瘍は大きくなると間接的にも食欲低下や吐き気の原因になることがあります。
急性胆のう炎、急性胆管(たんかん)炎
胆のうや胆管は直接的な食物の通り道ではありませんが、消化に関連する重要な臓器です。
炎症を起こすと吐き気や嘔吐を併発することもあります。
特にご高齢の方では、発症初期は吐き気が唯一の症状のこともあります。
吐き気・嘔吐の検査
血液検査
血液検査には実に多彩な情報があります。
状態に応じて貧血、肝機能、腎機能、栄養状態、ミネラルバランス、ホルモン、血糖値など様々な項目を組み合わせて吐き気の原因を調べます。
的確な診断の強い味方となります。
胃カメラ
吐き気や嘔吐の原因となりうる消化管のがん、胃・十二指腸潰瘍はカメラを受ければ、診断することは比較的容易です。
その他にも食道アカラシア、逆流性食道炎などの診断に有効です。
これらの中でも食道がん、胃がんは特に早期発見の意義が大きい疾患です。
胃がん、食道がんの解説ページも参考にしてください。
当院では出来るかぎり検査のハードルを下げるべく、鎮静剤(眠る点滴)を用いた胃カメラを扱っております。
安心して検査をお受けください。
大腸カメラ
大腸カメラでは大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)を発見出来る可能性があります。
また、がん検診(便潜血検査)が陰性でも大腸がんが隠れていることは大いにありますので、その点もご注意ください。
こちらのページも参考にしてください。
当院では出来るかぎり検査のハードルを下げるべく、鎮静剤(眠る点滴)を用いた大腸カメラを扱っております。
安心して検査をお受けください。
腹部超音波検査(エコー)
エコー検査では膵臓(すいぞう)、肝臓、胆のう・胆管などを観察できます。
つまり膵(すい)がんや肝臓がん、胆管がん、急性胆のう炎、急性胆管炎などを発見することが出来ます。
また平常時の腸はエコー検査ではほとんど見えませんが、腸閉塞でパンパンになった腸は簡単に映し出すことが出来ます。
これだけで診断的意義が非常に高い異常所見です。
いずれにおきましても、お身体への負担はほとんどない検査ですので簡単に受けることが出来ます。
CT検査・MRI検査 *院内設備はございません
吐き気、嘔吐の検査として初めに行う検査としては過剰ですが、例えば上に挙げたような検査で原因が特定出来なかった場合などに行われます。
ほんの一例ですが、例えば消化器疾患を疑い一通りの検査を終えても異常がなく、実は脳腫瘍が原因であった、などの場合です。
疑って初めて頭のCT検査は行われます。
もちろん消化器疾患でもCTやMRI検査でやっと診断に結び付くこともあります。
吐き気、嘔吐でお悩みの方はお気軽にご相談ください
頻回に嘔吐するようなら病院へ受診する方は多いと思いますが、慢性的な吐き気も病気が隠れていることの多い重大な症状です。
決して放置すべきではありません。
当院では出来る限りの正確な診断を重視しております。
正確な診断があったうえでの適切な治療を心掛けております。
その根拠となるのが質の高い検査、診断体制です。
経験豊富な医師による患者さんの負担を最小限とした検査、さらには経験や知識からなる適切な診断を提供することを常に目指しております。
当院では、吐き気・嘔吐症状があれば可及的に原因究明を行い、個々の患者さんに適した医療の提供を実践することをお約束します。
吐き気・嘔吐で苦しんでおられる方、その他どんな方でも是非お気軽に院長、スタッフにご相談ください。
参考
MSDマニュアル家庭版